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リアルビジネスを小説で…
痛快!ビジネス小説
今回の作品も実話をもとにしていますが、登場する人物名、組織名
はすべて架空のものとしました。

★小説 企業家列伝 二.「アジアの小太陽」(上巻)

《内容》

自ら志願し、東栄百貨店のバイヤー・松浪 悟(まつなみ さとる)は、
40歳で海外駐在員として香港に渡った。単身であった。
ブルースリーの『燃えよドラゴン』以前の香港であり、出世コースか
ら外れたと周囲にささやかれ、妻の八重子も心配をする。
だが、香港に着いたその日、「なんだこの楽しさは!」と松浪は興奮
する。このアジアの混沌と活気こそ自分の肌にあう、そう思った松浪
は、次々に事業を立ち上げ、東栄に松浪あり、香港に松浪ありと言わ
れる存在にのしあがる。
香港着任早々、華僑の大物・リチャード・サンと飛行機で出会い、フ
ァミリー夕食会に招かれる。そこで生涯の友となる篠田雄二とも出会
う。
中国語はできなくても、情熱さえあればここまでやれる。
のちに、松浪は富豪になり、日本人の海外起業家ネットワーク「OJM」
(OverSeas Japanese Merchant)を設立し会長に就任する。

サラリーマンとして会社を手玉にとり、華僑の大物をも手玉にとった
松浪だが、幼少期は意外にも物静かな少年であり、15歳の工員時代に
食べたチョコレートが人生開眼のスタートだった。
人生は自分が望むように変えることができる。ただし、覚悟はいるぞ、
ということを伝えてくれるひとりの男の痛快物語。
ビール片手にどうぞ!

「アジアの小太陽 上巻」【目次】

《第一章 すごいサラリーマンがいる》
一.リチャード・サン
二.福臨門(ふくりんもん)
三.小路と妻
四.盟友誕生

《第二章 目覚め》
一.チョコレートショック
二.アジアの混沌(カオス)

《第三章 東栄百貨店》
一.二年目でクビ覚悟
二.東栄ファイブ バイヤー決戦
三.副社長秘書
四.風説の流布

※この小説は実話をベースにしていますが、登場人物や会社名などは
すべて架空のものです。
※この小説は上下巻の二冊で完結します。下巻は平成26年3月下旬発
売予定です。

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小説 企業家列伝 二.「アジアの小太陽 上巻」
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  •  【立ち読みコーナー】休暇をバンコクですごしたその男は、ゴルフ疲れを癒やすように離陸前からずっと眠りどおしだった。二時間ほど経ったであろうか、喉の渇きをおぼえて目をさました。
    「ワラープリーズ」  松浪悟(まつなみさとる)、四十歳。この物語の主人公である。
    しわがれた声で飲み物をオーダーし、そのときようやく今日はオーバーブッキング(過剰予約)のおかげで、ファーストクラスへ移動したことを思い出した。「あ、それからシャンパンもね」
    旅先のバンコクでもホテルがオーバーブッキングし、スイートルームに入れられた。こんな幸運が続くのはめずらしい。こんな日に宝くじでも買おうものなら、大当たりするかもしれない。そんなことを考えていたら、突如、
    「お前は韓国人か?」
    という英語が聞こえてきた。
    声の主は隣の席の老紳士で、松浪を見ながら笑っている。
    …なんだ、このじいさんは。いきなり無礼な…
    そう思いながらも松浪は、おさえた声で
    「俺は日本人だ。あんたは?」と聞き返した。老紳士の方がかなり年上だが、松浪は自分と利害関係のない相手にはタメ口で通す主義だ。
    「俺はジョホールバル生まれの中国人だ。よく韓国人に間違えられるがな。ハッハハ」
    「マレーシア生まれか」
    「そうだ。それにしてもよく寝てたなあ、何も飲み食いしてないだろ」
    「ああ、今シャンパンを頼んだところだ」「じゃ、俺もなにか頼もうか。あ、君、紹興酒と蟹味噌入りの小籠包(しょーろんぽう)を持ってきてくれないか」
    松浪は先月香港にやってきたばかりであることと、今回はタイに旅行した帰りであることを老紳士に告げた。
    「バンコクではよい思い出ができたかい」
    「ああ、最高だったよ。初めてタイカントリークラブでプレイしたが、八十台で回れたよ。自己ベストさ」
    「それはよかったな。あそこでプレイしてファーストクラスで香港に帰る、そんなあんたは日本企業のオーナーか?」
    「俺か?俺はれっきとしたサラリーマンだ」
    「それにしちゃ優雅だな。お前の会社はそんなに儲かってるのか」
    「いや、俺の実力だ。給料なんて知れてるさ。副業だよ、副業が年収の何倍もある」
    「どんな副業だ、俺にもおしえろよ」
    「ダメだ、これは誰にも言えない。それにな、俺は日本にマンションも持っている。サラリーマンの年収の十年分のやつをキャッシュで買った」
    本当は半分ローンなのだがこの際、細かいことは言わずにおこうと松浪は思った。
    「すごいじゃないか。お前のような日本のサラリーマンを見たことがないぞ」「当たり前だろ、俺のようなサラリーマンはおれも見たことがない。ウワッハッハ」
    「愉快なやつだ」 老紳士は松浪に握手をもとめた。
    「それにな、自慢じゃないが今回はバンコクで一番のホテルに泊まったぞ。しかもコーナースイートだ」
    松浪はスタンダードツィンを予約したが、オーバーブックのおかげで部屋が移動になったことも黙っておいた。
    「どこのホテルだ」
    「サンガリアだ。いままであんなに素晴らしいもてなしを受けたことがないぞ」 そこへ、二人が注文した品が届けられた。
    「お近づきの(あかし)にカンパイだ」 老紳士がグラスを近づけたので、松浪も応じた。そして自分のバッグをもちあげながら、
    「ほら、これがサンガリアのタグ(荷札)だよ。本店は香港だが、バンコクでもナンバーワンだ。あんたも泊まるといい」
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  • 「そういうことだ。実績や実力よりも重みをもつ、わけのわからん評価基準。それに学閥。入社してからも一生、学歴がついてまわるということを知って俺は情けなくなった。同じ日本人なのに、どうしてそんな小さな単位で群れたがるのだろうね。悔しいよ俺は」
    「その点、何らかの事情で国外へ飛び出た華人同士のネットワークは強いですよ」
    「華僑のことか」
    「そうです。彼らはすでに経済的にも精神的にも、政治的にも強い影響力をもっている。中国政府も無視できないパワーです。日本人もどんどん外国にこればいいんだ。来なければならんですよ。そうすれば学閥なんてなにも意味がないことが分かるし、日本人同士のネットワークを作らねばならんと真剣に思うはずですよ」
    「きっとそういう時が来るよ。まずは手本のような人間がいる。華僑にリチャード・サンがいるようにな。俺も手本の一人になってやろうかと思っている」
    「僕もそのお手伝いをしますよ」
    「シノちゃん、君も手本の一人になるんだ」
    「いや、私は裏方でいい。表に出ない人間でいたい」
    「好きにするがいい。俺はもともと一介の油まみれの工場労働者だ。恐いものなんかない。失うものもない。会社が俺を評価しないのなら、俺は俺で自立するしかないだろ」
    「いっそのこと、会社を辞めてしまえばいい」
    「そのつもりだ。だが、ギリギリまで会社を利用してやる。ここまで来てしまえばこっちのもの。リチャード・サンのような億万長者になる自由もあれば、貧乏生活のあげく、香港の路地裏でのたれ死にするリスクもある。どっちにしろ、それを決めるのは第三者じゃなくて俺だ。そういう自由な生き方をしていく」
    「さしあたって松浪さんは、明日から何をするんですか?」
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

平成26年3月14日 第一版発行

著者 武澤 信行
昭和29年生まれ、愛知県名古屋市在住。
スローガン:1,000人の社長を小説にする

 

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